なぜ日本のFashion業界はダメになったのか。顧客セントリックとIT

「消費者こそがすべての主役である」

もはや消費者の本音や利便性を中心にビジネスを考えることができない企業に生き残る余地はないのだ。

誰もが肉体が一つでは足りないほど多くの洋服を持ち、情報化の恩恵で消費者の方が多くの知識を持ち得るようになった現代においては、業界側の都合など言い訳にもならない。

考えてみればファッション業界の人間が洋服を買わないのに、洋服が売れないことに頭を抱え、興味のない消費者にどう売りつけようかと考えあぐねている。まったくおかしな話ではないかと思う。

私はファッション製品の質が落ちたとかクリエーションが低下したとかそんなことは感じたことがない。それよりも、多くの人にとってファッションが従来に比べて下位のカルチャーとして扱われるようになり他の多くのカルチャーやグッズと並列に扱われるようになったと感じている。

業界の側がこうした事実から目をそらし、ファッションが常に消費者の最大関心事であるかのように態度を変えてこなかったことに問題がある。

ただでさえ他の消費対象との激しい競争に晒されており、仮にあるファッションアイテムに興味を持ったとしても、絶え間なく浴びる情報のシャワーによってその興味すらも洗い流されてしまうのだ。現に2007年時点で、世に流通する情報量は1997年と比べて実に530倍に膨れ上がっており、2016年現在においては言わずもがなである。

つまり、消費者が興味を持ったり、購入を検討する段階に入った時に、いつでもどこでも購入が可能で、なるべく消費者の手を煩わせることなく迅速に手元に届くような仕組みを構築しなければならない。その点において小売、特に百貨店は店頭の価値にこだわるあまり、オムニチャネル整備が遅れ、さらに不幸なことには、WEBという次世代を担う若者たちとの貴重なタッチポイントをみすみすドブに棄ててきたのだ。

最近ファッションテックの系のスタートアップとして成功している、例えば La Fabric  Oh My Glasses などの企業は、ITや金融という全く異なる業界の出身者が創業した企業であり、彼らは業界の常識にとらわれない「Consumer First」を追求し、消費者の立場に立った買いやすさを実現している。それは彼らが米国を中心とした最先端の消費地に目を向けており、従来の小売業が内装や売場づくりといった表面的なアイデアだけを輸入してきたのに対し、消費者のライフスタイルの変化や消費価値観の変化を捉え、そこに大きな時代の変化を感じているからだ。

BURBERRYがデジタル戦略の一環として始めた 「See Now Buy Now」 もファッションエリートではない一般の消費者を中心に考えたなら、とても自然な傾向であるといえる。ファッション業界は、いわゆる一般人を心のどこかで見下し、彼らを蔑ろにしてきてしまったのだ。

ここに業界最大の功罪があると私は考えている

ファッション業界は、これまで長い時間をかけて無意識に負の遺産を築いてきた。それが徐々に時代とはそぐわないものとなったが、そのしがらみを破壊することができず、終に自らも身動きが取れなくなってしまった。

そんな様子を見かねて客観的な立場から、もはや明白な業界の問題点にメスを入れ始めたのがIT業界というわけだ。彼らはファッション業界のことをそれほど知らず、一般人としての感覚を持ち合わせているからこそ、シンプルに考えることができ、それが一般消費者にとっての利便性に直結した仕組みになっているわけだ。

一方でこうしたIT化の盛り上がりを受けて、「 IT 」という言葉が独り歩きしているようにも思え、そこに危機感を感じている。「これからITの時代が来る、だからプログラミングを勉強しなきゃ」などと言っている者がいるのだが、大切なのはビジネスにITを取り入れることでも、コードが書けることでもない。重要なのは、どうしたら消費者がファッションに楽しさを感じてくれ、どうすれば一番早い方法でストレスなく彼らのもとに商品を届けることができるか、というシンプルな問いに対する答えではないだろうか。

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